退職・相続編将来の備えについて考えよう

「老後に使うお金」と「足りないお金」

退職後のマネープランを立てる時に欠かせないのが、「老後に使うお金」の予測です。“今の家計すら把握できていない”という方もいらっしゃるかもしれませんが、年金生活になると一般的に収入が大きく減りますし、年金は2カ月に1度の支給のため、計画的なお金の使い方が必要になります。退職後の生活を具体的にイメージしながら、老後に使うお金について考えていきましょう。

継続的にかかる費用を見積もりましょう

日常的にいくら必要なのか、現在の生活費を参考に見積もっていきます。その際に、食費や水光熱費、通信費など毎月必ずかかるものと、固定資産税や冠婚葬祭費など年間で見込んだ方が良いものを分けて考えるといいでしょう。なお、住宅ローンの返済や子どもの教育費が退職後も続く場合、いつかは終わる一時的な費用として考慮しますので、ここには含みません。(図1参照)

図1 継続的にかかる費用の一覧(例)
毎月 食費・日用品 6万円
水光熱費 1.8万円
通信費 1.5万円
住宅関連(ローン除く) 2万円
保険料 1万円
医療・介護費用 0.2万円
車関連・ガソリン代 1万円
被服・趣味レジャー、諸雑費 6.5万円
毎月の支出合計(A) 20万円
毎年 毎月の支出合計(A)×12カ月 240万円
年単位でかかる費用や臨時費用(固定資産税や旅行、冠婚葬祭など) 80万円
年間の支出合計(B) 320万円

1年間の支出の見積もりができたら、退職後の年数を掛けて一生分を計算します。ここでは仮に60歳~90歳までの30年間として継続的にかかる費用の合計を出してみましょう。

一時的な費用を見積もりましょう

次に、退職後にかかる一時的な費用を見積もっていきます。まずは、最低限準備したい費用からです。退職後も住宅ローンが残る場合、一括返済する予定なら退職時のローンの残高を見積りに入れます。もしも、ローン残高がすぐにわからない場合や、退職後もローン返済を続ける予定なら、【毎年のローン返済額×(ローン完済年齢-退職年齢)】で見積もります。変動金利で借りている人は、金利が上昇した時の増分もみておくと安心です。また、子どもの独立が退職後になる場合は、卒業までの教育費も加えておきましょう。
その他に、医療・介護が必要になった時のお金やお葬式代、必要に応じてお墓代も入れておきます。また、子どもに遺したいお金があれば、それも入れておきましょう。

退職後は、一生の中でも自由に使える時間がたっぷりある時期です。セカンドライフを充実させるための費用も、ぜひ加えておきましょう。そのためには、退職後にやりたいことや実現したい夢を、具体的に挙げて書き出してみましょう。自分らしいセカンドライフをイメージしながら、それらにかかるお金を見積もっていきます。(図2参照)

図2 一時的な費用の一覧(例)
年齢 イベント 見積金額
60歳 退職祝いの海外旅行 80万円
60歳 住宅リフォーム 150万円
63歳 車の買い替え 120万円
65歳 海外旅行 60万円
70歳 住宅メンテナンス 80万円
- 退職時のローン残高 120万円
- 医療・介護費用(2人分) 500万円
- お葬式代(2人分) 400万円
一時的な費用の合計(D) 1,510万円

継続的にかかる費用の合計(C)と一時的な費用の合計(D)を合わせたものが、「老後に使うお金」です。

「足りないお金」を確認しましょう

次に、老後資金の準備ができているかを確認します。老後の収入については、前回のコラム「老後にもらえるお金」で 年金などについて考えてきました。実際には、収入が一定額以上ある世帯では、税金がかかったり、医療・介護保険料が引かれますので、その分を1割程度差し引いて、 手取り額は少なめに見積もります。また、支出に関しては、物価の上昇も予想されますので、上記の支出から1~2割多めにみておくと安心です。 そして、老後の収入(手取り)に現在までに準備できている貯蓄額を足して、老後に使うお金を引いてみましょう。貯蓄額には、退職までに使う予定の教育資金などは 含めず、老後のための貯蓄額だけを足します。仮に、その貯蓄額が現在1500万円あったとして、老後の収入は前回のコラムで計算した金額を用いて計算すると、以下のようになります。

不足額(E)がプラスであればそれは余裕資金、マイナスであれば今の時点では老後資金が足りないということです。不足額を退職までに貯めるか、資産運用で今あるお金を増やすか、または60歳以降も働いてカバーすることになります。健康面などを考えると、60歳以降の労働収入に頼る部分を少しでも減らせるように、現役時代にしっかり貯蓄を増やしておくことをおすすめします。

  • 総務省「家計調査年報 2014年」を参考に、高齢無職世帯の実収入に対する可処分所得の割合を(株)プラチナ・コンシェルジュで試算した概算

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記事執筆田辺 南香(たなべ みか)ファイナンシャル・プランナー CFP®

上智大学卒業後、情報出版会社を経て、ファイナンシャル・プランナーに転身。心豊かな生活を実現するお金のコンシェルジュとして、アドバイスや情報発信を行う。主な著書「“未来家計簿”で簡単チェック! 40代から間に合うマネープラン」(日本経済新聞出版社)、「隠すだけ!貯金術」「女ひとり人生 お金&暮らしの不安が消える本」(KADOKAWA)。高齢シングル向けの情報サイト「おひとりさまスマイルCafe」を運営。(株)プラチナ・コンシェルジュ 取締役