退職・相続編将来の備えについて考えよう

相続でもめないためのマネープラン

「相続争いは資産家だけの話」と思われがちですが、相続でもめるケースのうち約75%が相続財産5000万円以下であり、財産が少ないから大丈夫とは言えないようです。遺された親族が相続でもめないためには、どのようなことに気を付けて準備しておけばいいのでしょうか。

相続で大切な二つの対策

相続をスムーズにすすめるには、主に“二つの対策”があります。一つ目は「遺産分割対策」で、複数の相続人がいる場合、財産を分けやすくしておくことです。二つ目が、少しでも納める税金を減らすための「節税対策」です。ここでは、財産の多少に関わらず、相続人同士がもめないために重要な「遺産分割対策」を中心に、具体的に何をすれば良いのか見ていきましょう。

相続財産・法定相続人の把握

相続対策として、まず始めたいのは相続財産の把握です。どこに、どのような資産がいくらくらいあるのかを整理して、名義別に財産一覧を作りましょう(図表参考)。
金融資産であれば、金融機関名や口座番号、金融商品名や現在の価値などを書き込んでおきます。不動産の価格は、固定資産税の納税通知書に書かれてある「固定資産税評価額」が参考になります。土地はその価格に1.1倍した金額 ※、建物はそのままの金額を入れておきます。また、相続財産の把握と一緒に、民法上定められた相続できる人(法定相続人)は誰なのかも、家系図を書くなどして確認しておきましょう。

土地の相続税評価額は売買取引する際の実勢価格の70~80%、固定資産税評価額は実勢価格の60~70%が一般的です。このことから、相続税評価額は固定資産税評価額を1.1倍した金額がおおよその目安になります。

遺言書の作成

本人が意思を遺さずに亡くなると、法律で定められた相続人(法定相続人)が法定相続分の割合で資産配分するか、または話し合いで分けることになります。 話し合いはもめる原因になりますので、自分の気持ちを反映した資産配分にしたい場合や、法定相続人以外の人に遺したい場合は、必ず遺言書を準備しましょう。

主な遺言の種類として、本人が手書きで作成する「自筆証書遺言」と、公証役場で証人2人の立会いのもと公証人に作成してもらう「公正証書遺言」があります。 自筆証書は公正証書よりも手軽に作れますが、パソコンで作成したり他人が代筆した場合や、日付や署名がない、財産を特定できないなど、ルールに従っていない遺言は無効になりますので、注意が必要です。確実に意思を遺すには、多少の手間とコストがかかりますが、「公正証書遺言」を検討するのが良いでしょう。

生命保険の受取人指定を活用

もめないための遺産分割対策には生命保険の活用も有効です。生命保険は受取人を指定できるため、相続人ごとに遺したい金額を設定して加入すれば、財産を分けやすくなります。また、法律で決められた割合(法定相続分)よりも多くの財産を相続した人が、他の相続人に対して金銭(代償金)を支払うことで円満に財産を分けるのにも役立ちます。

金融機関の口座を整理しておきましょう

財産一覧を作ると、「いつの間にか銀行や証券会社の口座が増えてしまっていた」ことに気づくかもしれません。高齢になると、一般的に物忘れが増えたり、判断能力が衰えたりするものです。口座が多過ぎると管理が大変ですし、万一相続が発生した場合も、金融機関ごとに手続きが必要になるため、口座数を減らして、金融機関を統一しておいた方が遺された家族の負担が少なくて済むでしょう。その場合、相続人が居住するエリアに支店・窓口がある金融機関に統一し、名義人の口座がある支店まで出向く必要がなくなれば、さらに便利です。

相続対策は、基本的に生きているうちにしかできません。早めに始めることによって、選択肢も増えますので、退職後のマネープランと合わせて相続についても考え始めることをおすすめします。

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記事執筆田辺 南香(たなべ みか)ファイナンシャル・プランナー CFP®

上智大学卒業後、情報出版会社を経て、ファイナンシャル・プランナーに転身。心豊かな生活を実現するお金のコンシェルジュとして、アドバイスや情報発信を行う。主な著書「“未来家計簿”で簡単チェック! 40代から間に合うマネープラン」(日本経済新聞出版社)、「隠すだけ!貯金術」「女ひとり人生 お金&暮らしの不安が消える本」(KADOKAWA)。高齢シングル向けの情報サイト「おひとりさまスマイルCafe」を運営。(株)プラチナ・コンシェルジュ 取締役