退職・相続編将来の備えについて考えよう

退職金を上手に管理・運用しよう

3月に定年退職を迎える方も多いことでしょう。まとまった退職金を手にして、どうすればいいか迷う方も少なくありません。そこで、どのような点に注意しながら、管理・運用していけばいいかをみていきましょう。

退職金に税金はかかる?

退職金の受取方法には、「年金形式」または「一時金」がありますが、一定の金額までは税金がかかりません。年金形式の場合は、公的年金と合わせて、65歳未満なら70万円/年を超えた分、65歳以上なら120万円/年を超えた分が、雑所得として課税されます。

一方、一時金の場合は、税制面での優遇が大きく、勤続年数に応じた非課税枠があり、長く勤めた方ほど税金がかからないしくみです(下表)。さらに、非課税枠を超えた金額については、その半分だけが課税されます。勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば、非課税枠を考慮された所得税・住民税が天引きされて振り込まれます。申告書を提出しない場合は、20.42%の所得税が源泉徴収され、後から確定申告が必要になりますので、注意しましょう。

(2016年2月現在)

勤続年数※ 退職金から控除される金額
(非課税枠)
20年以下 40万円×勤続年数※80万円に満たない場合は、80万円
20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

※1年未満の端数は切り上げ(例:勤続年数38年8カ月の場合は39年で計算)

使う時期によって資金を分けて運用しよう

退職金だけではなく、これまで貯めてきた金融資産も合わせて、預け先や運用方法をみていきましょう。まず、使う時期によって、短期資金(1年以内に使う予定のお金)、中期資金(1年~5年以内に使うお金)、長期資金(5年以上使う予定のないお金)に分けて考えます。例えば、1年以内に使う生活費の取り崩し費用や、住宅ローンを一括返済するための費用などは、短期資金に含まれます。

短期資金は元本が約束され、いつでも引き出せることが大切ですので、銀行の普通預貯金などに預けます。退職後の生活圏をイメージして、ATMが便利な場所にあったり、手数料が安いなど、使い勝手がいい金融機関を選ぶといいでしょう。

中期資金も減らしたくないお金ですから、安全性を重視します。普通預貯金よりも多少金利の高い5年以内の定期性預貯金や国債などを活用するといいでしょう。

老後資金の一番の心配は、長生きした時に資金が底をついてしまうことです。そのため、お金の寿命を延ばすための資産運用にも取り組みたいところです。しばらく使う予定のない長期資金の一部は、収益性が期待できる投資信託などの金融商品を活用します。これらに投資する金額の割合は、元本割れなどのリスクにどの程度耐えられるか(リスク許容度)を考慮して決めましょう。一般的に、退職して年金収入だけになると、リスク許容度は低くなるため、収益性商品の割合が大きくなり過ぎないように注意が必要です。リスク許容度と資産配分の考え方については、「豊かな老後のためのマネープラン」もご覧下さい。

使う時期に応じた資金分けのイメージ

価格が変動する商品を購入するときの注意点

退職一時金などのまとまった資金を受け取ると、「少しでも早く運用しなければ…」と、価格が変動する商品に一度に投資してしまう方がいます。マーケットの状況によっては、大きく価格が下がることもありますので、タイミングを分けて投資することをおすすめします。また、一つの商品だけではなく、特性の異なる商品に分けて投資して、それぞれの商品が持つリスクを分散させることにより、リスクを抑えることができます。

税制面で優遇があるNISA(少額投資非課税制度)は、2016年1月から非課税枠が1人あたり年間120万円に増えました(2015年までは100万円まで)。最大で600万円(120万円×5年間)までの新たな投資に対して、そこで生じた分配金や売却益に対する税金(税率20.315%)がかかりません。投資してから5年間は非課税になりますので、このような制度を上手に活用するといいでしょう。

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記事執筆田辺 南香(たなべ みか)ファイナンシャル・プランナー CFP®

上智大学卒業後、情報出版会社を経て、ファイナンシャル・プランナーに転身。心豊かな生活を実現するお金のコンシェルジュとして、アドバイスや情報発信を行う。主な著書「“未来家計簿”で簡単チェック! 40代から間に合うマネープラン」(日本経済新聞出版社)、「隠すだけ!貯金術」「女ひとり人生 お金&暮らしの不安が消える本」(KADOKAWA)。高齢シングル向けの情報サイト「おひとりさまスマイルCafe」を運営。(株)プラチナ・コンシェルジュ 取締役