幅 允孝(はば よしたか) さん

ブックディレクター・BACH代表
1976年愛知県生まれ。未知なる本を手にしてもらう機会をつくるため、本屋と異業種を結びつけたり、 病院や企業のライブラリーの制作をしている。代表的な場所として、国立新美術館『SOUVENIR FROM TOKYO』、 『la kagu』等。近著に『本なんて読まなくたっていいのだけれど、』(晶文社)がある。

「ブックディレクター」が指南する、本と向き合う人生術

今回の企画に冒頭から反してしまうのかもしれませんが(笑)、「得をしようと思って、読書はしないほうがいい」と お伝えしたいですね。本来、読書は「遅効性」のもの。楽しい暇つぶしみたいに本と付き合い、あるとき、気が付くと自分の血肉になっていた、 というのが理想的です。使えるヒントを抜粋するのではなく、作者が綴る一つひとつの言霊をスルメをしゃぶるように味わってみると、自分ならではの 美点や面白みが見えてきます。

また、本が楽しくなかったら、途中でやめてもいいとも思います。最後の一文字まで読まないと敗北的な風潮がありますが、 それで本を読むことを楽しめなくなるのはもったいない。

食べ物と同じように考えると分かりやすいんですが、ガッツリ肉が食べたい夜もあれば、スープとサラダでいい日もある。 だから、そのときのバイオリズムに合わせて選べるよう、僕は3冊の本を同時に読んでます。難しい本から、マンガまで幅広く。

そうやって本と共に時間を過ごすことで、自分の中に「種」が生まれます。それがいつか「芽吹い」て、 「花が咲く」かもしれない。それぐらいのスタンスで本と向き合えば、これからの読書人生はきっと豊かになるはずです。

時間の余裕があるときにでも、ふらっと本屋に寄ってみてください。そして、ネットの口コミは気にせず、直感で本を手に取る。 その本が、あなたの力になってくれるときが来るはずです。

BOOK LIST 働くため、生きるための「ヒントの種」になる8冊

学生時代に比べて社会人になるとうまくいかないことが多く、落ち込む日々もある。そんなモヤモヤを晴らしてくれる本を紹介します。 今読んでおけば、さまざまな社会の壁に立ち向かうとき、心で育った「種」が芽吹き、あなたを支えてくれるはずです。

サントリーの宣伝部で活躍した著者による礼儀作法の「副読本」。礼儀とは「相手にとっての自分の在り方」と考える著者の健康、飲酒、 通勤電車等の作法論は、堅苦しいマナーが苦手な方も納得できるはず。

15人のシェフを10年追ったノンフィクション。三つ星シェフから病や経済的理由で苦労したシェフまでさまざまだが、 好きな仕事にしがみついて生きる姿は同じ。「つづける」ことの価値を教えてくれる、泣ける仕事論。

あの天才も、常に悩み、苦しんでいたということが、仕事場のヒリヒリ感とともに、熱く描かれている。そこにベレー帽で笑顔の手塚はいない。 「働くこと=スマートなこと」ではないと覚悟をさせてくれる。

各界を引っ張る女性トップランナーが“女として”仕事とどう向き合ったかを語る。経営者からプロレスラーまで職種はさまざまだが、 皆が主張する共通項に働くことの真髄がある。単なる成功譚(たん)ではない。

誰もが一生懸命伝えようと思うと、つい必死に自分の考えばかりを押し付けてしまう。しかし、この本は「伝えることとは、 相手を慮(おもんばか)ること」だと一話完結の分かりやすいストーリーで解説。

任天堂の基盤をつくった“ゲームの神様”と呼ばれる著者は、「売れるアイデアは、ありふれた技術を、別ジャンルに持っていった時に生まれる」 と語る。斬新なアイデアは、0(ゼロ)から生まれるだけではない。

グローバリズムの中心、ニューヨークで暮らす著者が体験したコミュニティー単位での社会革命を記したエッセー。 企業という大きな単位の中にいても、自分という個を殺さず、力を発揮する術がこの本に。

人間の暗部を描いてきた名作家に掛かると、人生相談も一筋縄ではいかない。仕事、恋愛、健康等の相談に適当に答えているようで、 実に人間の本質を突いた一冊。一見辛辣(しんらつ)だけど、愛にもあふれている。

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